自民プロジェクトチームが提言案 犯罪被害者や遺族の支援強化
犯罪被害者や遺族の声を受けて、自民党のプロジェクトチームは、経済的支援を強化して給付金を充実させることや被害者を包括的に支援する弁護士制度を作ることなどを国に求める提言案をまとめました。
犯罪被害者をめぐっては、加害者が長期にわたって服役し、裁判所が賠償を命じても支払われないケースが多いのが実情で、犯罪被害者や遺族らから、支援の充実を求める声があがっています。
これを受けて、自民党のプロジェクトチームは、国への提言案をまとめました。
この中では、被害者や遺族に対する補償として、被害者の年齢や収入などに応じて、国が一時金を支払う制度について、経済的支援を強化するため、給付額を引き上げるとしています。
具体的には、算定基準を見直し、特に幼い子どもや学生、家事労働者など、収入がない被害者の給付額を大幅に引き上げるとしています。
このほか、法的支援の充実策として、犯罪被害者が捜査機関や加害者への損害賠償請求などに対応しなければならないため、弁護士が代理人として包括的に支援する「犯罪被害者支援弁護士制度」の創設などを求めています。
【「新あすの会」が会見】
犯罪被害者への経済的補償の充実を求めてきた「新全国犯罪被害者の会」、通称「新あすの会」は自民党のプロジェクトチームが提言案をまとめたことを受けて都内で会見を開きました。
代表幹事で、自身も妻を殺された遺族の岡村勲弁護士(93)は、「被害者が困らない補償制度をつくらなければと、一歩一歩積み上げてようやくきょうを迎えました。まだまだ足りない点はありこれで終わりでなく、闘いは続きますが、以前と比べればはるかに前進でうれしく思います」と話していました。
また、高取由弥子弁護士は、「犯罪被害者が必要な支援を途切れること無く受けられるようにするという理念が法律では掲げられているのに、十分な施策が講じられず被害者が困り続けている現状を目の当たりにしてきた。国はこの提言を具体的な制度に落とし込み、確実に実行していただきたい」と訴えました。
【土師守さん “大きな前進”】
26年前の1997年に、神戸市で起きた児童連続殺傷事件の遺族で、当時11歳だった息子の淳くんを亡くし、「新あすの会」の役員を務める土師守さんは「犯罪被害者や遺族に対する経済的支援の強化は、これまでずっと訴えてきました。給付額を大幅に引き上げることなど具体的な提言がされたことは、大きな前進だと思います。国には、今回の提言をしっかり受け止めてもらい、犯罪被害者や遺族への支援をさらに充実化させてほしい」とコメントしています。