国の特別天然記念物のコウノトリ 稲美町でひながふ化か

稲美町で、国の特別天然記念物のコウノトリのつがいが人工の塔に巣を作り、今月に入って、少なくとも1羽のひながふ化したとみられることが分かりました。
専門家は「播磨地域でのコウノトリの繁殖は県の記録には残っておらず、今後、生態を詳しく調べていきたい」と話しています。

稲美町は、ため池が多く、これまでにもコウノトリが飛来してエサを探す姿も見られていて、町内にある広告会社では、所有する田んぼに「巣塔」と呼ばれる高さおよそ13メートルの人工の塔を設置しています。
この会社によりますと、ことしに入って、つがいが塔に巣を作り始めているのが確認され、先月には、卵を温めるような様子も見られたということです。
そして、6日、巣の様子を撮影した映像について、NHKがコウノトリの繁殖や研究を行う「県立コウノトリの郷公園」に確認を依頼したところ、コウノトリのつがいがエサを吐き出してひなに与えるような動きが複数回、確認されたということです。
このため、県立コウノトリの郷公園は、少なくとも1羽のひながふ化したとみられるとしています。
県立コウノトリの郷公園の田中和義 副園長は「稲美町やその周辺の地域が生物の多様性を守るための環境づくりに長年取り組んできた結果だと思う。播磨地域でのコウノトリの繁殖は、県の記録には残っておらず、今後、生態を詳しく調べていきたい」と話していました。
広告会社の従業員は「いつかコウノトリが来てくれると思い、期待していました。昔のように人びととコウノトリが一緒に生活できるよう、静かに見守ってほしい」と話していました。