神戸大空襲78年で慰霊祭 聴覚障害者の体験を絵本に

昭和20年3月17日の神戸大空襲から17日で78年となり、神戸市で慰霊祭が行われました。

慰霊祭は、神戸空襲を語り継ぐ活動する市民団体が主催して兵庫区の薬仙寺で行われ、遺族や空襲を経験した人などおよそ60人が参列しました。
終戦の年となった昭和20年の2月から8月にかけての空襲で、神戸では8000人以上が亡くなったとされ、このうち3月17日の大空襲では市の西半分が焼失し、大きな被害が出ました。
慰霊祭では、参加者が黙とうを捧げたあと、12歳の時、現在の兵庫区で3月の大空襲にあった井上義彦さん(90)が、「爆撃機から金属をひっかくような恐ろしい音がして、真っ白い光を放つたくさんの焼い弾が落とされていました。空襲が終わり、至る所が燃えている街に警察官の父を探しに出て、遺体を発見した時のことを覚えています」と戦争の悲惨さを語り、平和の大切さを訴えました。
そして参列した人たちは境内にある慰霊碑に花を手向け、静かに手を合わせて犠牲者を悼んでいました。
「神戸空襲を記録する会」の小城智子事務局長は「きょうの慰霊祭にも体調が悪くて来られなかった高齢の空襲経験者や遺族がいますが、戦争を知る人が減る中で、語り継いで行く必要はいっそう高まっていると感じています」と話していました。

【聴覚障害者の体験を絵本に】
17日の慰霊祭では、1冊の絵本の出版が発表されました。
78年前に聴覚障害者が体験した空襲の恐ろしさが描かれています。
絵本には平和への思いが込められています。

この絵本「手をはなしたらあかん」は、神戸市内の小中学校や公立の図書館などに寄贈される予定です。
一般にも協力金1200円と引き換えに提供されます。