兵庫県のジェンダーギャップ指数 フルタイム就労など男女格差
8日の国際女性デーにあわせて、性別による格差、「ジェンダーギャップ」の指数が都道府県ごとに発表されました。
兵庫県は、フルタイムの仕事に従事する割合や、共働き家庭の家事・育児などに使用する時間で男女の差が大きいことがわかりました。
都道府県別の「ジェンダーギャップ」指数は、上智大学の三浦まり教授などでつくる「地域からジェンダー平等研究会」が地域ごと特色を浮かび上がらせ、取り組みにいかしてもらおうと、都道府県ごとのジェンダーギャップ指数を去年から発表しています。
それによりますと、兵庫県は47都道府県のうち、▼大学進学率の男女格差などをもとにした「教育分野」は12位、▼都道府県議会や市町村議会の男女比などをもとにした「政治分野」は13位、▼都道府県職員の管理職の男女比や育休取得率における男女格差などをもとにした「行政分野」は26位、▼企業や法人役員の男女比などをもとにした「経済分野」は28位でした。
このうち、「教育分野」では、「4年制大学進学率」が女性が57.8%、男性が59.8%と比較的、男女差が小さくなっています。
一方、都道府県別の順位が低かった経済分野の項目をみると、「フルタイムの仕事に従事する割合」では、男性が83.6%だったのに対し女性が49%ちょうどと、2倍近く差が開いています。
女性の割合は全国的に見ても5番目に低くなっています。
また、「共働き家庭の家事・育児などに使用する時間」は、1週間の平均時間が女性が250分なのに対して男性が48分と、5倍あまりの差があります。
調査を行った研究会では、男女差や地域差、さらに分野ごとの差を可視化することで、地方の課題や必要とされる取り組みに反映させてほしいとしています。
【専門家の見方】
家庭や育児に詳しい大阪教育大学の小崎恭弘 教授は、都道府県ごとのジェンダーギャップ指数の結果について、「日本のジェンダー指数が先進国の中でも非常に低いままというのは長年の課題だ。兵庫県は、芦屋市や尼崎市などで女性市長が誕生し、政治面では社会をけん引している。ただ、専業主婦率も高く、共働き家庭の割合が低いことなどから、男女の役割規範がまだ残っている傾向があり、男性の家事・育児の参加時間が低くなっているのではないか」と指摘しています。
そのうえで、「以前は男性はほぼ家事・育児をしてなかったが、少しずつだが増えてきている。これまでの男女の役割分担に縛られるのではなく、それぞれの家庭で自分たちが納得できる生き方、働き方、家族の在り方を作っていくことが大切だ。男女とかジェンダーの問題だけじゃなくて、この国全体の発展に大きく影響する数値ということを改めて意識し、改善できるようにしていく必要がある」と話しています。
【ジェンダーギャップ指数とは】
ジェンダーギャップは、男らしさや女らしさなど、社会的・文化的に作り出された性差によって生まれる不平等や格差のことをいいます。
それを可視化したのが「ジェンダーギャップ指数」です。
政財界のリーダーが集まるダボス会議の主催者、「世界経済フォーラム」が格差の解消を目的に2006年から毎年、政治参加、経済、教育、それに医療へのアクセスの4つの分野で調べ、結果を公表しています。
令和4年7月に公表された結果では、日本は調査対象の146か国中116位で、G7=先進7か国の中で最も低くなっています。
一方、3月8日の国際女性デーにあわせて公表されたのは、上智大学の三浦まり教授などでつくる「地域からジェンダー平等研究会」が調査した都道府県ごとのジェンダーギャップ指数です。
教育、政治、行政、それに経済の4つの分野の30項目で、国などが公表するデータをもとに都道府県別の指数を算出しています。
男女差や地域差、さらに分野ごとの差を可視化することで、地方の課題を浮き彫りにし、取り組みにいかしてもらおうという狙いです。
指数は「1」に近いほど平等であることを示しますが、三浦教授によりますと、結果は、ほぼすべての項目で「1」になっておらず、人口の割合で半分以上を占める女性が能力を発揮する場が与えられていないことが明らかになったとしています。
三浦教授は、「数値を改善することだけを目的にするのではなく、環境を意識し、文化を変えていくことが大切である」と話しています。