“障害が残った被災者に支援を” 神戸市の市民団体が求める
阪神・淡路大震災の経験をもとに、被災者への支援活動を行っている市民団体が会見し、地震などの災害では、被災した際のけがが原因で、長期間にわたって、障害に苦しむ状態に置かれている人たちがいるとして、こうした人たちに目を向けるよう訴えました。
会見を行ったのは、神戸市の市民団体「よろず相談室」です。
それによりますと、災害時には、死者や行方不明者の数が大きく伝えられる一方で、被災した際に負ったけがが原因で障害が残り、長期間にわたり、苦しい生活を強いられる人たちも少なくないということです。
しかし、個別の災害ごとにまとめられる消防庁の報告書でも、こうした人たちの数は集計されておらず、存在していることすらうかがえない状況だということです。
会見には、阪神・淡路大震災で、当時、中学3年生の娘が脳に障害を負い、ひとりで日常生活を行うことが難しくなったという70代の母親も出席しました。
母親は「きらきらした中学生だった娘が震災でまったく違う人生を歩むことになった。亡くなった人の次に、けがをして後遺症を持って生きないといけない人にも思いを寄せてほしい」と話していました。
市民団体「よろず相談室」の牧秀一さんは「災害で障害者になった被災者のことは、社会にほぼ知られていない。今後、また地震が起きても障害を負った被災者が放置される可能性がある」と話し、専門の相談窓口の設置など支援の強化を訴えました。