殺人事件で娘を亡くした父親が警察署で講演 遺族の思い伝える

19年前、福岡市博多区の公園で女性が勤務先の福岡空港へ向かう途中に殺害される事件がありました。
被害者の女性の父親が、22日、当時、事件の捜査本部が置かれた福岡市の博多警察署で初めて講演し、警察官に遺族や被害者の苦しみを本気で受け止めてほしいと呼びかけました。

講演したのは福島敏廣さん(67)です。

19年前の平成17年、当時23歳だった娘の啓子さんが福岡空港に出勤する途中で殺害され、遺族としての思いを伝えてます。

22日は当時、事件の捜査本部が置かれた博多警察署で初めて講演し、警察官およそ150人が参加しました。

福島さんは、事件の発生直後からこれまでに経験した出来事やその時の心境を振り返り「もがき苦しみながらも前を向いて生きていくには多くの人の支えがあった」と語りました。

また、改めて犯人逮捕への感謝を述べた上で、「弱い立場の声を無視せず真摯に心と耳を傾け、事件の遺族や被害者の苦しみを本気で受け止めてほしい」と呼びかけました。

最後に、娘の啓子さんが客室乗務員になる夢を持ちひたむきに努力していたことから、参加者全員で紙飛行機を飛ばし、命の尊さと夢を持つことの大切さを共有していました。

講演を聞いた警察官のひとりは「被害者の心境に寄り添った対応のできる捜査員になりたい」と話していました。

講演のあと福島さんは「博多警察署は私の中で特別で、思い入れがあった場所なので、警察官の前で話ができるのは本当にうれしいです。講演を通じて人とふれあう機会ができるのは、啓子のおかげだと思います。これからもこうしたふれあいやつながりができると思っています」と話していました。