旧門司駅遺構 有識者が会見「遺構の全面的な発掘調査を」

北九州市で見つかった明治時代の旧門司駅のものとみられる遺構について、ユネスコの諮問機関、イコモスのメンバーを務める有識者が会見し、遺構の全面的な発掘調査の必要性を強調しました。

この遺構は、門司区で北九州市が建設計画を進めている複合公共施設の予定地で見つかったもので、1891年に開業した旧門司駅の機関車庫の基礎部分などとみられています。

これまでこの遺構の保存のあり方や複合公共施設の建設をめぐって、市議会でもさまざまな意見が出ていましたが、市は、先月18日に開かれた市議会の建設建築委員会で、発掘調査が行われていないエリアの追加調査を実施することや、遺構が確認された場合には記録保存を行って可能な限り速やかに複合公共施設の事業に着工する方針を示していました。

こうしたなか、8日、「日本イコモス国内委員会」のメンバーで、九州大学大学院の溝口孝司教授と、福島綾子准教授が市役所で会見し、遺構の重要性などを訴えました。

その上で、福島准教授は「複合公共施設の建設予定地のうち、市は一部のみの発掘調査にとどめようとしているが、遺構が全面的に埋まっている可能性がある」として、全面的な発掘調査の必要性を強調しました。

市は、先月18日の市議会の委員会に示した日程どおり、これまでに追加の発掘調査を行うための試掘作業を10か所で実施しました。

今後はこの発掘調査の費用を盛り込んだ補正予算案を来月開かれる定例市議会に提出し、予算が認められれば、発掘調査などを進めることにしています。

溝口教授によりますと、「日本イコモス国内委員会」では旧門司駅関連の遺構について「ヘリテージ・アラート」と呼ばれる「文化的資産が直面している危機に対して保全と継承のために出される声明」を発出したいという意向があり、フランスにあるイコモス本部に発出を求める書類を提出するため、その準備を進めているということです。