吉富町長 議員指摘のパワハラ否定も「不適切だった」

吉富町議会で一般質問が行われ、議員が町長によるパワハラが疑われる行為を指摘する声が複数の職員から寄せられているとして認識をただしたのに対し、花畑明町長は「厳しく注意をしたのは間違いない。げんこつをするふりはしたので不適切だった」と述べたうえで、パワハラにはあたらないとの認識を示しました。

15日、行われた吉富町議会の一般質問で、太田文則議員が花畑明町長から職員に対しパワハラが疑われる行為があったのではないかと指摘しました。

太田議員の質問によると、3年前、コロナワクチンの接種業務に携わっていた2人の職員がうそをついたとして、町長がほかの職員もいる中で、「だから俺はこいつらが嫌いなんだ」、「ぶつぞ」などと言って拳を顔の前に突きつけ殴るようなそぶりをしたのを複数の職員が目撃し、情報を寄せたということです。

指摘に対し花畑町長は「厳しく注意したのは間違いないが、相手をおもんぱかったからだ。拳は目の前には突きつけていないが少し離れたところからげんこつをするふりはしたので不適切だったと認識し、本人に陳謝した」と述べたうえで、パワハラではないとの認識を示しました。

続いて、質問に立った岸本加代子議員は「1人の職員が『職場で度重なるパワハラを受け、生きる希望を失ったという遺書を書いて自殺未遂を図った』と職員の家族から相談を受けた」と述べ、事実かどうかただしました。

これに対し町側は「自殺未遂があったと家族から報告を受けている」と答えました。

議会後、花畑町長はNHKの取材に、「拳をあげたのは職員から1、2メートル離れた場所で突きつけてはいない。『うそをついたらだめだぞ』という意味だった。パワハラというのはない」と述べました。

また、職員が遺書を書いて自殺未遂を図ったことについては、「注意をしながら教えていくさなかだったのでびっくりした。関係者にも確認し、遺書にあるような事実はなかったが、しっかり精査して初心に戻って対応したい」と述べました。

関係者によりますと、吉富町の20代の男性職員が去年9月、「上司や町長からパワハラを受けていた」などと遺書を書いて、自宅で自殺未遂をはかったということです。

男性は家族に発見されて意識不明の状態で病院に搬送され、その後、意識を取り戻し、現在は休職して療養しているということです。

NHKが入手した遺書には、「上司や町長のパワハラや嫌がらせに全部たえたし、こらえてきた」「何も話を聞かずに怒鳴られるくらいならもういいです」「仕事でも死ねって言われたし、死にます」と記されています。

男性の母親はNHKの取材に対し、「息子は、町長から過呼吸になった姿を見て笑われたり、障害があることを大声で周りに聞こえるように話されて、ひどく自尊心を傷つけられたと言っていました。ほかにも職場内でパワハラや嫌がらせがあると聞いています。職場環境を改善してほしいと思います」と話していました。

吉富町の花畑明町長はNHKの取材に対し、「関係者に確認したところ遺書に書かれているような事実はなかった」と話しています。