“成熟”した森林 土砂災害起きにくい 発生すると被害拡大

大雨による土砂災害について、木が植えてから長期間経過し“成熟”した森林は、若い森林と比べて土砂災害が起きにくい一方、ひとたび発生すると流木の量が多いため被害が拡大するとの研究結果を九州大学大学院のグループが発表しました。

九州大学大学院農学研究院の執印康裕教授などの研究グループは、1988年に広島県の旧加計町今の安芸太田町で起きた、林の年齢=林齢が30年以下の若い人工林での土砂災害と、2017年の九州北部豪雨の際福岡県朝倉市で起きた林齢40年以上の成熟した人工林での土砂災害について、土壌にしみ込んだ水分量や流木の量を計算しました。

その結果、若い森林では20年から30年に一度の大雨で土砂災害が発生した一方、成熟した森林ではおよそ70年に一度の大雨で発生し、森林が成熟するほど土砂災害の防止機能が高まることが明らかになったとしています。

一方で、成熟した森林は、ひとたび土砂災害が起きれば若い森林と比べて流木の量が最大で30倍となり、被害拡大につながることがわかったということです。

執印教授は「40年から50年くらいの年齢の森林が増えてきているが山が変わることで被害の形態も変わる。今回の研究結果が、山の状態を踏まえたハザードマップの更新などにつながってほしい」と話していました。