九大 iPS細胞から心筋細胞 “移植の心臓病患者経過順調”

iPS細胞から心臓の筋肉の細胞を作ってシート状にした「心筋細胞シート」を心臓病の患者に移植する手術を、ことし1月、九州で初めて行った九州大学が、19日会見を開き、患者の男性の経過は順調だと報告しました。

九州大学はことし1月、iPS細胞から心臓の筋肉の細胞を作りシート状に培養した「心筋細胞シート」を、虚血性心筋症という重い心臓病の50代の男性の心臓の表面に貼り付けて移植する手術を行いました。

大学は、19日会見を開き、医学研究院の藤野剛雄助教は、手術を受けた患者の男性は疲れやすさや息切れが解消したと話し、仕事に復帰するなど、経過は順調だと報告しました。

そして心臓血管外科の園田拓道講師は今回の手術は、心臓移植に比べて所要時間が短く傷が小さいなど患者への負担が少ないとメリットをあげた上で、「移植が適用となる一歩手前の重症患者はたくさんいるので、今回、新たに開発された治療法は大きな力になる」として、今後の展開に期待を寄せました。

この手術はシートを開発した大阪大学が中心となって臨床試験を進め、全国で8人の患者に対して行われていて大阪大学の研究グループでは、2年以内の実用化を目指したいとしています。