“妊娠で余儀なく退職” 提訴のフィリピン人女性がOLで会見

技能実習生として福岡県で働いていたフィリピン人の女性が、妊娠を理由に退職を余儀なくされたとして、実習先の施設の運営者などに賠償を求める訴えを起こし、オンラインの会見で「問題を提起しなければ、多くの技能実習生が同じようなひどい扱いを受け続ける」などと述べました。

訴えを起こしたのは、4年前に来日し、福岡県上毛町の特別養護老人ホームで技能実習生として働いていたフィリピン人の女性(26)です。

訴状などによりますと、女性はおととし、妊娠を理由に退職を余儀なくされたとして、実習先の施設を運営する社会福祉法人や受け入れにあたった監理団体などに対して、損害賠償など、およそ640万円を求める訴えを起こしています。

代理人の弁護士によりますと、女性は妊娠した際に「産休を取って帰国し、出産したのちに実習を日本で再開したい」という意向を監理団体などに伝えたところ、団体の理事から「産休はあるが、あなたのせいで他のフィリピン人の評価も落ちる」などと言われたということです。

福岡地方裁判所小倉支部で開かれた17日の1回目の弁論のあと、女性はオンラインで会見し「私たちは、まだ妊娠出産を選択する権利を奪われています。誰もこの問題を提起しなければ、企業や監理団体などは不正を行い続け、多くの技能実習生が、私と同じようなひどい扱いを受け続けることになります」などと述べました。

一方、実習先だった施設を運営する社会福祉法人は、NHKの取材に対して「意見が異なる部分があるので、弁護士を通じて対応していきたい」とコメントしています。