木製品づくりを再び 穴水町で培った技術を守る

囲碁の碁石を入れる「碁け」で全国トップシェアの生産量だった、穴水町の工場が能登半島地震で全壊したことを受けて、クラウドファンディングで資金を募るなどして再建に取り組みはじめています。
木製の家具や雑貨などを製造している金沢市に本社をおく会社は、約80年前に穴水町で事業を始め、創業当時から作り続けている碁石を入れる「碁け」は最盛期、全国の60%のシェアを占めるなど、地域の特産品になっています。
しかし、1月の能登半島地震によって、この会社のすべての商品を手がけていた穴水町の工場が全壊し、製品づくりができなくなりました。
さらに、5人の職人のうち3人は、金沢市など町外に避難していて戻る見込みがなく、社長の谷口正晴さんは、一時、再建を諦めていました。
そうしたなか、職人になって2年ほどの若手、寺田和樹さんが、「会社の創業の地、穴水町で再建したい。培ってきた伝統を守りたい」と谷口さんに働きかけたことをきっかけに、工場の再建が決まりました。
工場の取り壊しや建設に携わる業者が足りず再建は2年後の予定ですが、それまでは、使える機械の整備などをして、仮設の工場での生産に向けた準備を始めています。
また、賛同してくれる人たちから、幅広く支援を得たいと、寺田さんのアイデアで今年3月から5日までクラウドファンディングで資金を募り、目標の500万円には届かなかったものの、185人から375万円が寄せられました。
会社によりますと、工場や倉庫を撤去して新たに建設するには、少なくとも1億円余りが必要だと見込まれていて、仮設の工場で製品作りを再開して、資金の確保につなげたいということです。
また、新たな工場については、「ものづくり」の現場を観光客に見てもらうなど穴水町に人を呼び込める新たな施設にすることを目指しているということです。
木材加工会社の谷口社長は、「生まれ育った穴水町に、もう一度、貢献したいと思い再建を決めました。困難はたくさんありますが、めげずに前に進みたいと思います」と話していました。