輪島市の山あいの地区では田植え準備始まるも不安抱える

能登半島地震では、多くの農地も被害を受けました。
石川県輪島市の山あいの地区では、5月ごろに始める田植えに向けて、肥料をまくなどの準備が始まっていますが、農業施設が壊れたままで、不安を抱えながらのスタートとなりました。

輪島市町野町の宇羅恒雄さん(79)の農業法人で管理している約45ヘクタールの田んぼは、亀裂が入ったり、川から水を引き込む水路が壊れたりするなど大きな被害を受けました。
復旧の見通しは立っていませんが、例年5月ごろに行う田植えに向けて、この時期から準備を始める必要があります。
宇羅さんは悩んだ末、準備を始めることを決断したということで、27日朝も、トラクターを使って田んぼに肥料をまいていました。
農業法人の作業員の中には地区を離れて避難している人もいて、今後、人手を確保できるかどうかにも不安を抱えています。
宇羅さんは「今からやらないと田植えには間に合わないので、見切り発車で始めました。田んぼに水を張ることができるのかなど心配はありますが、地域の農業を守るためにもなんとかやっていきたい」と話していました。
石川県によりますと、1月の地震で県内では、26日時点で農地に亀裂が入るなどの被害が912件、水路が破損するなどの被害が1257件確認されています。
ただ、輪島市や珠洲市などでは被害が大きく、いまだ全容の把握はできていないということです。