輪島の老舗食堂 仮店舗で営業再開 常連客なじみの味を楽しむ

能登半島地震で店舗が半壊するなどして営業休止を余儀なくされていた輪島市の老舗の食堂が21日から仮店舗での営業を再開し、多くの常連客がなじみの味を楽しみました。

輪島市の中心部で、昭和初期から約100年続く「萬正食堂」は、元日の地震の影響で店舗が半壊するなど大きな被害を受け、営業休止を余儀なくされました。
店の味を守ろうと4代目の店主、萬正光さん(36)は、2キロほど離れた事務所を幼なじみから提供してもらい、地元の仲間たちの協力も得て仮店舗での営業再開にこぎ着けました。
21日は、午前11時半の開店と同時に営業再開を聞きつけた常連客が次々に訪れ、日替わりメニューのカツ丼を注文していました。
地震の影響で食材の仕入れが難しいため、メニューは当面日替わりのみの提供ですが、訪れた常連客はなじみの味に顔をほころばせ、なかには涙を流す人もいました。
店を訪れた30代の男性は、「食べたのは去年以来で、涙が出ました。美味しかったです」と話していました。
食堂では、今後クラウドファンディングで資金を集め、元の店舗での営業再開を目指すということで、萬正さんは、「まだ課題だらけでなにから手をつければいいのかわかりませんが、ここで料理しながら少しずつ解決していきたい」と話していました。