被災した輪島塗の箸職人 工房を修理し製作再開

能登半島地震で被災した輪島塗の箸の職人が、地震で壊れた工房を修理して、14日から製作を再開しました。

石川県輪島市に住む輪島塗の箸の職人、小山雅樹さん(68)は、自宅を兼ねた工房が傾くなどの被害が出たほか、仕事道具や機械も壊れて作業ができない状態が続いていました。
これまでは、被害を免れた商品を集めて販売するなどしてきましたが、箸に塗った漆を均等にして乾かす「回転風呂」と呼ばれる装置の修理が終わり、14日から製作を再開しました。
小山さんは、石川県産の「能登ヒバ」の木を箸の形に削った下地に、専用のはけを使って赤い漆を1本ずつ丁寧に塗っていきました。
そして、漆を塗った箸を装置の中に設置して起動させると、均等に乾くよう、ゆっくりと回転していました。
小山さんは、漆を塗って乾かす作業を1本ごとに数回繰り返すということで、多いときには2年半ほどかけて100回以上行うこともあるということです。
小山さんは「地震から2か月半くらいたっているので最初はぎこちなかったですが、やっぱり漆を触れたのはうれしかったです。いまできることを1つずつ積み重ねて、輪島塗という産業を残していきたい」と話していました。
輪島漆器商工業協同組合によりますと、加入する103の事業者すべてが地震の被害を受けていて、ほとんどは事業再開のめどが立っていないということです。