学校の避難所から自宅に戻る人も

能登半島地震の被災地では、仮設住宅の着工が入居の希望に追いつかず、先の暮らしを見通すのが難しいなか、避難所から被災した自宅に戻ろうとする人が増えています。

石川県によりますと、2月13日の時点で、仮設住宅への入居の希望が7411件にのぼっているのに対し、完成したのは58戸で、工事が始まったのは2227戸となっています。
また、1次避難所は最も多いときで県内に404か所ありましたが、避難者が減っていることなどから集約され、16日の時点で254か所になり、生活する人が以前よりも多くなっている避難所もあります。
こうしたなか、NHKの取材ではプライバシーが限られたり家の様子が気になったりするなど、さまざまな理由から被災した自宅に戻ろうとする人が増えています。
輪島市河井町の谷内家次守さん(77)は、地震の直後から輪島高校の体育館で避難生活を送ってきましたが、日に日に子どもたちが学校を使える状態に戻してあげたいという思いが強くなっているということです。
谷内さんは、顧問を務める地元のホテルで営業再開に向けた準備を進めていて、離れた場所での生活は難しいため、隣の家が傾いていることで応急危険度判定で危険とされている自宅に戻る準備を進めているということです。
これまでに息子に頼んで、棚やタンスなど地震で倒れるおそれがあるものを壁に固定するなどしたということです。
谷内さんは「避難先の学校では新学期を始めたいという話を聞きました。本来なら子どもたちを教える先生が私たち避難者のために受け付けや食事を配ってくれています。私たちが子どもたちの足を引っ張っているのではないかと思いました。事情が許せば学校から出たいと思っています」と話していました。