臨時休業続く旅館「鉄道再開はトンネルの先にみえる小さな光」

運行が再開した区間には約1200年の歴史がある石川県内でも有数の「和倉温泉」があり、臨時休業が続く旅館からは励みになるといった声も聞かれます。

七尾市にある「和倉温泉」には20以上の旅館やホテルが建ち並び、石川県によりますと、おととしにはのべ53万人あまりが泊まりに訪れ、県内の温泉地で最も多くなっています。
しかし、この地域の旅館などでは地震の影響による建物への被害や断水の影響などですべての施設で通常の営業ができない状況が続いています。
創業100年を超え、70あまりの客室がある旅館でも、地震で壁に亀裂が入ったり天井の一部が落下したりしたことなどから臨時休業が続いていて、修復の作業をどのように進めるか見通しは立っていません。
断水が続き床などの拭き掃除も思うように進められない状況だということです。
旅館では、地震が起きる前には関西などから鉄道を利用して訪れる観光客も多かったということで、運行が再開した和倉温泉駅まで毎日、送迎車を出していました。
以前に訪れた客からは再開を待ち望む電話や手紙も寄せられているということです。
今回の鉄道の再開について、「大観荘」のおかみの大井マ璃幸さんは、「何から手をつけていいかもまだまだ分からないような状況ですが、鉄道の再開はトンネルの先にみえる小さな光のようで励みになります。また温泉に来たいというお客さんの声に応えられるように、ほんとうに一歩ずつですが前に進んでいきたいです」と話していました。
能登半島地震を受けて国は観光客の宿泊代の一部を補助する「北陸応援割」を実施することにしていますが、石川県の馳知事は、災害対応を優先するため県内での開始時期を富山県や福井県とはそろえない考えを示しています。