伝統行事「あえのこと」儀式の延期決めた人も

9日は、石川県・奥能登地方の伝統行事、「あえのこと」のうち、年末年始に家に迎えた神様を田んぼに送り出す日ですが、地震のあと続く断水のため儀式の延期を決めた人もいました。

金沢市の川口喜仙さん(59)は、実家がある輪島市白米町で米作りを続けていて毎年、「あえのこと」を行っています。
しかし、ことしは、断水で神様をもてなすごちそうや風呂の準備が難しいことなどから、送り出す儀式を延期しました。
川口さんは9日、地震で傾いてしまった座敷に神様が宿るとされる木の枝を並べ、「大地震で大変な状況が続いています。もう1か月家にいて、守ってください」とお願いしていました。
川口さんは毎年、儀式には紋付きはかまを着て、野菜の煮しめや刺身などのごちそうを用意しますが、9日は、ふだん着で臨み、ごはんやみそ汁などの4品を供えました。
川口さんは、3月9日に、改めて神様を送り出す儀式を行ったあと、田植えに向けて作業を始めるということです。
川口さんは「きょうは大切な日なので、きちんと延期を報告しました。被害を受けた田んぼもありましたが、例年の半分でもいいので米を作りたいです」と話していました。