「市立輪島病院」 看護師の4人に1人が退職の意向

能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市の「市立輪島病院」で、看護師の4人に1人が退職の意向を示していることが、病院への取材で分かりました。
病院は「どうすれば病院に残ってもらえるか早急に調査し、必要な支援を求めたい」としています。

輪島市中心部の山岸町にある「市立輪島病院」は、病床が20床以上ある病院としては市内唯一で、県の災害拠点病院にも指定されています。
今回の地震で設備に被害を受けましたが、救助された人やけがをした人を受け入れていて、1月下旬からは、外来診療を一部の科で再開しています。
病院では職員の多くがみずからも被災しながら業務に当たっていますが、およそ120人いる看護師のうち、近く退職する意向を示している人がおよそ30人にのぼり、4人に1人の割合になっていることが病院への取材で分かりました。
退職を希望する理由としては、病院の近くに子どもを預けられる施設がないことや、仮設住宅の入居に時間がかかると見込まれていることがあげられ、2次避難先の金沢市などに職場を求める看護師もいるということです。
一方で、出勤している看護師も夜勤などに対応できる人は限られることから、175ある病床のうちいまの体制で運用できるのは、最大でも30から40床程度にとどまるということです。
病院の河崎国幸事務部長は「看護師が25%もいなくなると病院の機能は維持できず、壊滅的な数字だ。どうすれば病院に残ってもらえるか早急に調査し、その結果を踏まえて、必要な支援を求めたい」と話していました。

《退職の動きは 能登半島北部のほかの地域でも》
地震の影響で勤務先の病院を退職する動きは被害が甚大だった能登半島北部のほかの地域でも見られています。
このうち、珠洲市の珠洲総合病院と穴水町の穴水総合病院では、いまの段階で看護師を含む職員全体の1割近くが退職を検討しているということです。
また、能登町の宇出津総合病院では地震のあと、すでに看護師など5人が退職したほか、数人が退職を検討しているということです。
いずれも、地震の影響で、自宅に住めなくなったり、親族の世話をするために市外に移ることなどが退職の理由だということです。
それぞれの病院では、職員の退職に加え一部の職員が出勤できない状況も続いていて、地域医療の確保に苦慮しています。
一方、能登町の柳田温泉病院は建物が大きく壊れたことから入院患者を全員転院させた上で休診していて、この影響で全体の3割以上にあたる45人の職員が退職したということです。
病院は施設の建て替えを検討していますが、時期や費用などの見通しは立っていないということです。