「輪島塗」職人 制作再開へ金沢市内に工房機能の一部移す

能登半島地震で輪島市の伝統産業「輪島塗」の工房の多くが被災する中、少しでも早く制作を再開しようと金沢市内に工房の機能の一部を移す職人もいます。

輪島市の漆塗り職人の赤木明登さん(61)は、制作に携わる職人や弟子が作業場として使っていた輪島市門前町などにある住宅が今回の地震で大きな被害を受けました。
輪島塗の制作に欠かせない水も断水によって使えなくなっているため、赤木さんは2か月間金沢市内に新たに住宅を借りて、工房の機能の一部を移すことにしました。
5日は新たに使う住宅に職人や弟子が集まり、漆で室内が汚れないよう間取りを計測した上で合板を貼って床を保護する作業を進めていました。
今後は漆を乾かす専用の棚などを設置したうえで今週中にも制作を始めることにしています。
金沢市の仮工房では下地塗りなどの作業を行い、最後の工程だけは輪島市内の別の工房で仕上げるということです。
赤木さんは「2か月間ここで作業ができるのは幸運なことだと感じています。自分たちの作品を待っているお客さんたちに一刻も早く届けられるよう作業を開始したいですし、長い歴史がある輪島塗を継承していけるようにここでしばらくふんばって若い弟子たちに技術を伝えて一人前にしていきたい」と話していました。