能登地方の歴史的な建造物にも被害

今回の地震では、石川県の能登地方にある歴史的な建造物にも被害が出ました。

【曹洞宗「総持寺祖院」17の歴史的建造物すべて被害】
輪島市門前町にある曹洞宗の「総持寺祖院」は、国の登録有形文化財となっている17の歴史的な建造物すべてに被害が確認されています。
このうち正面に立つ山門から続く回廊は全体にわたって、基礎部分から大きく倒壊し、原形をとどめていません。
また、歴代の高僧をまつる大祖堂は門が外れ、壊れていました。
国の登録有形文化財のほかにも、僧侶が修行を行う僧堂では瓦が落ちるなど屋根が激しく損傷しているほか、境内では、石畳がめくれ上がったり、灯籠が倒れたりする被害が広い範囲に及んでいます。
寺は、専門家を呼んで被害の状況を詳しく調査したうえで、今後について検討していくとしています。
2007年に発生した能登半島地震でも被災した総持寺祖院は、3年前に耐震工事や修復を終えたばかりでした。
寺の総務などを担う副監院の高島弘成さんは、「14年間、苦労を重ねてようやく形になったというところでまた被害が出てしまいました。『耐震化したのになぜ』と思うところもありますし、言葉になりません。今は復興のことは考えられませんが、やるべきことを一つ一つやるしかありません」と話していました。
【国の重文「上時国家住宅」にも被害】
今回の地震では、石川県の能登地方にある国の重要文化財、「上時国家住宅」にも被害が出ています。
輪島市町野町にある「上時国家住宅」は、江戸時代の豪農の暮らしぶりを伝える建物として国の重要文化財に指定されています。
1月11日、NHKが撮影した映像では、建物が押しつぶされたように損壊して屋根が地面についてしまった状態になっているのが確認できます。
県教育委員会の文化財課や輪島市によりますと、現時点では被害の全容は把握できていないということです。