輪島市に高齢者や障害者のための福祉避難所開設受け入れ開始

今回の地震で多くの人が避難生活を送るなか、石川県輪島市に高齢者や障害者など介護が必要な人のための福祉避難所が開設され、受け入れが始まりました。

受け入れが始まったのは、輪島市釜屋谷町にある障害者のグループホームなどが入る福祉施設「ウミュードゥソラ」です。
この施設では、市内にある一般の避難所で、災害派遣医療チーム「DMAT」が、高齢者や障害者など介護や介助が必要だと判断した人たちの受け入れを8日夜から始めました。
職員たちは、避難した人から体調を聞き取ったり、避難者とストレッチをして体を動かしたりしていました。
9日は、新たに20人から30人ほどを受け入れる見込みで、片づけを行うなど準備を進めていました。
車いすの60代の男性は「脳内出血で、左半身がまひしてるので移動が大変です。前にいた避難所ではすべて自分でやるしかなかったので、助かります」と話していました。
この福祉避難所の運営に携わる医師の紅谷浩之さんは「高齢者が多い地域のため、数日間、避難所で寝ていただけで、筋力が落ち動けなくなってしまった人も出始めています。福祉避難所のように、介護や生活医療の視点をもった支援が必要だと思います」と話していました。
珠洲市では災害が起きた時に、支援が必要な高齢者や障害者のための「福祉避難所」がひとつも開設できていないことが分かりました。
「福祉避難所」は災害時に通常の避難所では健康管理が難しい、高齢者や障害者などを受け入れる施設で、珠洲市では市内の7つの高齢者施設を福祉避難所に指定しています。
しかし、市によりますと、職員が被災して出勤できない施設が多く、9日の時点で3つの施設が一時休業しているほか、そのほかの施設でも福祉避難所は開設できていないということです。
このうち、特別養護老人ホームの「長寿園」では、地震の影響で建物の通路などに複数の亀裂が入ったほか、断水が続いていて利用者の入浴や衣類の洗濯などができない状況が続いています。
また、職員の多くも被災して出勤できる職員は2割ほど減っていて、いまの体制では多くの避難者を受け入れることは難しいといいます。
「長寿園」の横山博一副施設長は「職員も避難所から出勤して頑張っているが、市外に避難した職員もいてこれ以上の避難者を受け入れるのは難しい。少し状況が落ち着いたらできるだけ早く受け入れられるよう準備していきたい」と話していました。