金沢競馬場レース中停電 レースに騎乗の騎手”頭が真っ白に”

11月19日、金沢市の金沢競馬場で日没後のレース中にコース内の照明が消え、落馬した騎手2人がけがをして、レースが不成立になりました。
このレースに騎乗した騎手の1人が、22日、NHKの取材に応じ、突然、停電した時の状況について、「本当に頭が真っ白というか、びっくりしたの一言でした。馬を落ち着かすので精一杯だったと」と語りました。

11月19日の午後5時すぎ。
日没後に行われた第8レースの映像です。
1400メートルの距離のレースに11頭が出走しました。
向こう正面の直線。
残り800メートルを切りました。
第3コーナーに入る位置取りに向けた勝負どころを迎えます。
レース開始から約45秒後。
突然、画面が真っ暗になります。
コースの照明が停電しました。
競馬関係者によりますと、このあたりでは馬の速度が時速60キロほどに達するということです。
こうした状況のなかでも、「馬群が3コーナーから4コーナーに移りますが、走路の照明が消えてしまいました」と、レースの実況は続きました。
スタートして、約1分30秒。
うっすらとゴール前を通り抜ける馬の姿が確認できます。
このうち5番の馬は、騎手が落馬し、馬だけがゴールしている様子が映像から分かります。

11月19日、金沢市の金沢競馬場では、日没後のレース中に突然コース内の照明が消え、その影響で騎手3人が落馬して、このうち2人がけがをして病院に搬送されました。
レースは不成立になりましたが、当日、このレースに騎乗した青柳正義騎手が、NHKの取材に応じました。
青柳騎手は、当時の状況について「本当に頭が真っ白というか、びっくりしたの一言でした。馬を落ち着かすので精一杯で、何か考えていたというより、体が勝手に動きました」と話していました。
青柳騎手は、地方競馬で通算1300勝以上をあげ、金沢競馬の年間最多勝を獲得したこともある経験豊富な騎手です。
停電の原因について石川県によりますと、全てのレースが終了したあとに消灯するようタイマーを設定すべきところ、担当者が時間を誤ったため、レース中に消灯したということです。
青柳騎手は、今回の原因について「照明の管理がどうなっているか、僕らは全然タッチしない立場で正直びっくりしましたし、憤りもありました。もともと事故の多い仕事ですが、人的なミスでこうした事態になったことは悲しいです」と話していました。
石川県は、再発防止策として、照明を消灯する際、今後はタイマーを使用せず、必ず2人で確認した上で手動で行うことにし、翌日からレースを再開しています。

石川県の馳知事は「今回の事態を大変重く受け止めている。けがをした騎手の方に心からお見舞いを申し上げるとともに、馬主など関係者の方々やファンの皆さんに深くお詫びを申し上げる。金沢競馬の主催者として、安全なレースの実施に最大限の努力を尽くす」と述べました。