北陸鉄道石川線 鉄道存続案まとまる バスへの転換は困難に

全国の赤字のローカル鉄道で存続や廃止の議論が進む中、石川県の北陸鉄道石川線について、バスへの転換が難しいため鉄道として存続させる案がまとまったことが関係者への取材で分かりました。バスなどの運転手不足が深刻になる「2024年問題」が影響した形で、専門家は赤字路線のバスへの転換は難しくなっていると指摘しています。

石川県で唯一の私鉄、北陸鉄道は、赤字が続いている2つの路線に対する公的な支援を求め、沿線の自治体など関係機関と協議しています。
このうち金沢市などを走る石川線については、鉄道として存続させる案と「BRT」と呼ばれる専用道路を走るバスに転換する案を中心に議論してきました。
議論の方向性は8月30日に沿線の市長などが集まる会議で決まる見通しですが、関係者によりますと、事務局を務める金沢市が鉄道として存続させる案をまとめたことがわかりました。
この案はすでにほかの自治体にも示されていて、反対意見が出なければ石川線の存続が決定します。
鉄道として存続させる場合、自治体が財政的な負担を負う可能性がありますが、バスに転換する案については、時間外労働の規制が強化される「2024問題」の影響で慢性的な運転手不足がさらに深刻になるため、見送られたということです。
交通政策に詳しい「計量計画研究所」の牧村和彦理事は、赤字のローカル鉄道をバスに転換させることは難しくなっていると指摘した上で「これまでは民間の事業者が地域の交通を支えてきたが、公的な資金をどう投入するか考えることが重要になる」と話しています。

《運転手不足のバス会社は・・》
北陸鉄道では、「2024年問題」が慢性的なバスの運転手不足に追い打ちをかけることを懸念しています。
来年4月からトラックのドライバーやバスの運転手を対象に時間外労働の規制が強化され、人手不足が深刻化することが懸念されていて、「2024年問題」と呼ばれています。
北陸鉄道は石川県内の全域でバスを運行していますが、去年の9月末の時点で金沢市やその近郊で運転手の定員の約13%、人数にして50人ほどが確保できず、残業が常態化していました。
このため、この地域のバスの本数を大幅に見直し、ことし4月には平日で8%、土日・祝日で15%の減便に踏み切りました。
こうした中で来年4月から残業時間や勤務間のインターバルに対する規制が強化されると慢性的な運転手不足がより深刻になり、石川線をバスに転換するには金沢市などの路線バスをさらに減便する必要があります。
今回、石川線を鉄道として存続させる案がまとまりましたが、その場合は収支の改善が必要になり、自治体がどのように経営を支援していくかが課題となります。