「特集」かほく市で水道が断水 いったい何が起きた
【前説】。
能登地方を中心に県内各地で発生した断水。
このうち、最も多い5000戸を超える断水が発生した、かほく市の現場を取材しました。
【断水発生の状況】。
大規模な断水が起きた、かほく市に向かいました。白尾から木津地区にかけての南北5キロほどのエリアです。
この地域では先週木曜日の夜になって水が突然、使えなくなりました。一体、何が起きたのでしょうか。
「かほく市の配水施設です。ここでは2000立方メートル、お風呂1万杯分の水を貯めることができるということです」。
高台にある「貯水タンク」です。手取川ダムから引いた水を貯め、ポンプや高低差を利用した水圧で周辺に水を届けます。
その住宅の数が今回、断水したおよそ5400戸でした。
先週木曜日、「貯水タンク」に異変が起きたのです。
「これが26日朝9時ごろから、一気に“カラ”に近いくらいなくなったのがわかります」。
ふだん人が利用していない空き家の水道管から水が漏れ続け、貯水タンクが“カラ”になって、各家庭に水を送れなくなったのです。
【復旧に時間】。
では、なぜ復旧にここまで時間がかかったのでしょうか。
かほく市は、空き家で漏水が起きても誰にも気づかれない可能性があるとして、対象地区のすべての空き家を1軒ずつ回り、念のため水道の元栓を止める作業にあたりました。
しかし、ここにも問題が…。
元栓が設置されている水道メーターは大雪で地面が隠れているため、見つけるのが難しい状況だったのです。
かほく市では、こうした状況もある程度想定し、事前に撮影していた写真を使いましたが、メーターの場所を特定し、掘り出して見つけるには時間がかかりました。
「空き家は除雪されておらず、元栓を見つけるのが大変ですが、職員総出で作業にあたり、少しでも早く断水を解消して、ふだんの生活に戻れるよう取り組みたい」。
市内で空き家とみられる建物の数は、全部で1400軒あまり。このうち、断水が発生した地域には、3分の1を超えるおよそ500軒が集中していました。
さらに、かほく市は、断水のエリアが拡大しないように起きていない地域でも確認を進めました。
すると、漏水の疑いのある場所が見つかりました。
検針員が水道メーターを確認すると、水が使われていることを示す部品が回っていたのです。
検針員によりますと、この建物1軒だけで、90立方メートル、実にお風呂450杯分にあたる水が使われていたことがわかりました。
かほく市によりますと、断水が起きていない地域でさえ、5%にあたる53軒の空き家で、漏水が発生していたことがわかりました。
【なぜ発生?】。
なぜ、水道管で漏水は発生したのでしょうか。
寒冷地域から応援で訪れた担当者は、厳しい寒波に水道設備が耐えられなかった可能性があるとみています。
「長野県などの寒冷地と比べ、石川県では水道管が地中の浅い場所に設置されていることが多く、凍結しやすい可能性がある」。
かほく市の断水は、30日正午までにすべて解消しました。
しかし、水にさびや濁りが発生する可能性があるなど、飲み水としては使うことができるのは、2月1日以降になる見込みで、完全に元に戻るまでにはさらに時間がかかりそうです。