水道管の破裂や漏水 県内5つの自治体1万世帯以上で断水
今週、全国で記録的な寒さをもたらした寒波の影響で、石川県内では各地で、水道管の破裂や漏水が起き、午後5時現在、5つの自治体の1万世帯以上で断水が発生しているほか、学校も休校になるなど、影響が広がっています。
寒波による記録的な寒さは緩んだものの、県内では水道管の破裂や漏水が相次ぎ、各地で断水が発生しています。
NHKが石川県内の各自治体に取材したところ、午後5時現在、かほく市、輪島市、羽咋市、宝達志水町、七尾市の、あわせて約1万280世帯で断水が発生しています。
かほく市では、26日の午後9時半ごろから七塚地区と大崎地区の住民から「水が出ない」という問い合わせが相次ぎ、2つの地区あわせて約5300世帯で、断水しているということです。
上水道の水を一時的に蓄えておく「配水池(はいすいち」の水がめが空になり、水を供給できなくなっているということです。
かほく市は、26日夜から27日朝にかけて、健康福祉センターや公民館に給水所を開設し、市民に対する水の配布を始めていて、27日朝も、水を求める人たちが次々と訪れていました。
七塚地区で1人暮らしをしている新田正英さん(79)の家でも、26日の午後9時ごろから水が出なくなり、トイレや風呂、洗面台も使えなくなってしまいました。
新田さんは「まさか朝になっても水が出ないとは思いませんでした。トイレは外で借りたり、手を洗うときは雪で手をこすったりして過ごしています」と話していました。
かほく市では、七塚地区にある小学校2校と、中学校1校の臨時休校を決めています。
羽咋市でも、夜になってから「水が出ない」という問い合わせが増え始め、水道を担当する地域整備課に応援の職員も出て、対応に追われています。
市が管理する「東部配水池」で26日夜、急激に水位が低下し、午後10時ごろには、ほぼ水位が無くなったということです。
現在、余喜地区と本江町の合わせて800世帯あまりで断水が発生していて、市では市役所のほか、断水がおきている地区の公民館や小中学校でも、市民への給水を行っているということです。
羽咋市地域整備課の田中哲也上下水道担当参事は「時間帯によっては、職員の数が足りず、パンクしている状態です。丁寧に対応するとともに、市民の皆さんにも節水をお願いしたい」と話していました。
石川県教育委員会によりますと、断水の影響で休校になったり、給食が提供できないなどの理由で、授業を打ち切ったりした小中学校は、輪島市で9校、宝達志水町で5校、羽咋市で4校、かほく市で3校、能美市で1校と県内であわせて22校にのぼっています。
断水が発生している地域の給水所に関する情報です。
かほく市では、七塚健康福祉センターと木津公民館、それに白尾公民館の3か所で給水パックを配布しています。
輪島市では、大屋公民館、南志見出張所、三井出張所、皆月集会所の4か所で給水パックの配布やポリタンクへの給水を行っています。
羽咋市では、市役所正面と余喜公民館、西北台小学校、鹿島路公民館、邑知中学校の5か所で給水パックやペットボトルの配布を行っています。
七尾市では、崎山公民館と下佐々波漁港、それに南大呑公民館の3か所で、給水パックの配布を行っています。
宝達志水町では、給水車を要請しているものの間に合っておらず、地域の公民館などにペットボトルを配布したということです。
宝達志水町には、岐阜県の岐阜市と関市がそれぞれ給水車を派遣し、支援にあたるということです。
かほく市の七塚地区のラーメン店では、26日夜10時ごろ、店主の男性が、閉店後の後片づけを終え、手を洗おうとした際、水道の水が出なくなっていたということです。
27日朝になっても水道やトイレは使えないままで、27日の営業を見合わせることになったということです。
ラーメン店の店主の増川晃二さんは「営業ができないと、楽しみにしているお客さんに申し訳ないですし、この状況が長引けば食材も悪くなってしまいます。いつ復旧するかわからいと、食材をどうするか計画を立てることもできません」と話していました。
断水が続く中、公衆浴場には家でお風呂に入れないという人たちが集まっています。
宝達志水町の公衆浴場「宝湯」では、町内だけでなく、となりのかほく市からも断水の地域で暮らしているという人たちが訪れていました。
かほく市から来ていた75歳の男性は、「車で15分かけて来ました。トイレも流すことが出来ずいつ復旧するか不安です」と話していました。
「宝湯」を経営している谷内田英夫さんは「家でお風呂に入れないという人たちからの問い合わせが、開店前から寄せられていました。困っている人はぜひ入りに来てほしい」と話していました。
石川県の馳知事は、寒波の影響で県内各地で断水が発生していることを受けて、各自治体から求められた場合にはすみやかに、自衛隊に災害派遣を要請する考えを示しました。
石川県の馳知事は、27日、県庁で開いた定例の会見で、午後の時点で県内で1万世帯を超える断水が発生している状況を受けて、各自治体に対し、住民への給水などについて、県として必要な助言行っていると述べました。
馳知事はさらに、自治体から今後要請があれば、自衛隊に対して、すみやかに災害派遣の要請を行う考えを示し「住民生活に長期的な影響が出ないよう、早め早めの対応をとりたい」と話しました。