金沢市 難病ALSと診断の女性がロボットを遠隔操作して講演
重い病気や障害で会話が難しい人たちのコミュニケーションを支える装置について、医療や介護のスタッフに知ってもらおうという説明会が金沢市で開かれました。
全身の筋肉が動かなくなる難病ALSと診断されている女性が、眼球の動きなどで離れた会場に置かれたロボットを遠隔操作し話をしました。
金沢市の高橋利子さんは全身の筋肉が徐々に動かなくなる進行性の難病ALSと診断されています。
自力での呼吸が難しくなり、気管を切開して人工呼吸器をつける手術を受けたため声を発することができません。
高橋さんは眼球の動きを感知するカメラでパソコンのカーソルを動かし、文字を音声に変換して自分の意思を伝えています。
20日、約5キロ離れた会場のロボットと自宅の装置をつなげ、遠隔での講演を行いました。
会場のロボットは高さが20センチほど。
高橋さんが手術を受ける前に録音しておいた声で読み上げていきます。
高橋さんは会場に集まった約20人の看護師や介護福祉士に「体が動かせなくても家族とコミュニケーションを続けることができ、装置は自分にとってなくてはならないものだ」と伝え、「小学2年生の息子に毎日、いってらっしゃいと声をかけて学校に送り出しています」などと話しました。
参加した介護福祉士の男性は「意思疎通が難しい方でもさまざまな技術でコミュニケーションがとれるのだと驚きました。自分の意思を蓄積して伝えられること、またその気持ちを受け取れることは素晴らしいことです」と話していました。
講演を終えた高橋利子さんは「装置が無ければ生きていけません。今後はパソコンで絵を描くことにもチャレンジしたいです」と話していました。
高橋さんの分身のロボットが発する声は会場でもはっきり聞き取ることができました。
参加した看護師や介護福祉士はメモを取るなどしながら講演を聞き、高橋さんが「子どもの通知表渡しでは代わりにロボットが学校に行き担任と会話できて嬉しかったです」などと小学2年生の息子、利久くんとのエピソードを披露した際には、表情も緩んでいました。
参加した介護福祉士の男性は「意思疎通が難しい方でもさまざまな技術でコミュニケーションがとれるのだと驚きました。自分の意思を蓄積して伝えられること、またその気持ちを受け取れることは素晴らしいことだと思います」と話していました。