おはら祭「総踊り」参加の団体 事前審査に変更の方針で検討

鹿児島の秋の風物詩「おはら祭」の「総踊り」などへの参加はこれまで基準などはありませんでしたが、まつりを主催する「おはら祭振興会」は、ことしから新たな規約に基づいて事前に審査し、団体の参加を認める方式に変更する方針で検討を進めていることがNHKの取材で分かりました。

「おはら祭」は、色とりどりの衣装を着た踊り手のグループが鹿児島市の繁華街・天文館周辺を民謡の「おはら節」などに合わせて踊りながら練り歩く「総踊り」が見どころです。

この「総踊り」などへの参加についてこれまで基準などはありませんでしたが、まつりを主催する「おはら祭振興会」がことしから新たな規約に基づいて事前に審査し、団体の参加を認める方式に変更する方針で検討を進めていることが分かりました。

NHKが入手した「おはら祭参加団体審査要領」の案では、「総踊り等への参加を希望する踊り連等がその資格を有するか、審査を行う」としたうえで、参加を認めない基準として、
▽暴力団その他の反社会的団体又はその構成員や、
▽おはら祭の開催に支障をきたすなど、
振興会において参加がふさわしくないと判断した踊り連などを挙げています。

関係者によりますと、去年の「総踊り」で、旧統一教会、「世界平和統一家庭連合」のグループが参加したことについて疑問視する声が寄せられたことが規約を作った背景にあるということです。

このグループについて、振興会の事務局は、去年、「解散命令の請求に対する司法判断が出ておらず、参加に問題はない」としたうえで、司法判断や社会情勢を踏まえてことし以降の対応を検討していくとしていました。

主催者の今回の方針について、世界平和統一家庭連合鹿児島家庭教会は、NHKの取材に対し「昨年のおはら祭のあと、参加者から、また来年も出ようという声があがっていた。今後の動向を見守り、対応を考えていきたい」とコメントしています。

憲法が専門で宗教法人法に詳しい近畿大学の田近肇教授は「一般論として考えたときに、これまで誰でも自由に参加できる形で祭りが続いてきたのが、場合によっては判別することが本当にいいのかどうか、たしかに議論はあると思う」と話しています。

一方で、「昨今の傾向として、コンプライアンスが厳しく問われるようになっている」として、近年の社会情勢が新たに規約を作ることになった背景にあると分析しています。

そのうえで、「ある団体について祭りに参加するのがふさわしくないと判断するのであれば、判断の理由をきちんと説明すべきだし、基準を運用していくときに運用が首尾一貫していることをきちんと維持することが大切だと思う」と述べ、運用が恣意的だとの疑いを持たれないような対応がまつりの振興会に求められるとの考えを示しました。