新型コロナ「5類」に移行して1年 県内では流行の波繰り返す

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行して、8日で1年になりました。
コロナ前の日常生活へ戻りつつある中で、県内では依然として流行の波を繰り返しています。

5類となってから、感染状況は「全数把握」から県内89の医療機関からの報告に基づく「定点把握」となりました。

県内の感染状況は、5類移行後も増加と減少を繰り返していて、去年7月には1医療機関あたりの感染者数が3週連続で20人を超えるなど、夏から秋にかけて流行の「第9波」を迎えました。
その後は減少しましたが、ことし1月から2月にかけては再び感染者数が増加しました。

直近では、今月5日までの1週間に報告された感染者数は、1医療機関あたり3.85人となっていますが、去年の同じ時期の推計と比べると4倍以上、多くなっていて、感染症の専門家によりますと、全数把握に置き換えると、毎日250人程度の感染者が出ている試算になるということです。

特に、感染者が急増しているのが、奄美大島や喜界島の市町村を管轄する名瀬保健所の管内です。

先月から増加傾向に転じ、先月28日までの1週間の1医療機関あたりの感染者数は34.75人、今月5日までの1週間は36.0人と、2週連続で30人を超えました。

名瀬保健所によりますと、感染者の年代に特徴は見られず、クラスターの発生もないため、感染者が急増した要因は特定できていないということです。

名瀬保健所は、感染対策に取り組むよう呼びかけるとともに、市町村や医療機関に注意喚起を行っています。

新型コロナが5類に移行したことで感染対策が大きく緩和されましたが、今なお対応が求められているのが医療現場や感染リスクの高い人が集まる施設です。

鹿児島市堀江町にある「いづろ今村病院」では、感染拡大以降、一般の外来とは分けて別の診察スペースに発熱外来を設置しています。

現在も予約制で発熱外来を続けていて、1日に5人ほどが訪れているということです。

また、高齢者や糖尿病患者など免疫力が低下している患者が多く入院していることから、院内感染を防ぐため、現在も原則、面会の禁止を続けているということです。

また、クラスター対策など高いレベルでの感染対策が引き続き求められているのが高齢者施設です。

鹿児島市内の複数の高齢者施設に取材したところ、5類への移行後、入所者と親族の対面での面会を解禁したり、飲食を伴わないものであれば外出も認めたりするなど、感染状況をみながら規制を緩和しつつある施設もありました。

一方で、県老人保健施設協会は「感染リスクの高い高齢者の命を預かっているため、クラスターの発生を防ぐために面会や外出の制限を続けている施設のほうが多いのではないか」としています。