伊佐市 太陽光発電施設の爆発 消防と警察の現場検証 終わる

先月、鹿児島県伊佐市の太陽光発電施設で爆発が起き消防隊員4人がけがをした火災で、消防と警察による現場検証が12日、終わりました。
消防などによりますと、爆発などの原因については現在も調査中だとしています。

先月27日の夜、伊佐市大口大田にある太陽光発電施設「ハヤシソーラーシステム高柳発電所」で火災があり、建物内の煙を取り除く作業を始めようとしたところ爆発が起きて、消防隊員4人がけがをしました。

爆発したのは蓄電設備が入る建物で、感電などのおそれがあったため放水ができず、鎮火までおよそ20時間かかりました。

消防と警察は今月9日から総務省消防庁の消防研究センターの職員なども交えて現場検証を行い、12日午前中に終了したということです。

警察によりますと、現場検証では爆発が起きた建物内にある蓄電池や「パワーコンディショナー」と呼ばれる電力を変換する設備を中心に写真を撮影するなど損傷の状況を確認したということです。

一方で、消防と警察によりますと、出火や爆発の原因については現在も調査中だとしていて、引き続き詳しく調べることにしています。

爆発が起きた原因について、太陽光発電の蓄電設備に詳しい鹿児島大学の野見山輝明准教授は「何らか原因で発火し蓄電池が高温の状態に長時間さらされると、電池の中に入っている可燃性の液体の温度が上昇しガスが発生する。さらにひどくなるとガス漏れが起き、周りに炎があると発火や爆発を繰り返す。蓄電設備には蓄電池が多数あるので、1台が爆発して別の爆発を誘発する状態になったと考えられる。大規模な蓄電設備での火災は国内では聞いたことがなくおそらく初めてではないか」と話しています。

また、消火に向けた放水を行えなかったことについては「太陽光発電はほかの電力システムと異なり電源を切ることが難しく、光がある限り発電し続ける。高電圧の部分に水がかかると、漏電によって感電の可能性があったり、蓄電池に水がかかるとショートしてさらに火災がひどくなったりする可能性もあり正しい判断だと思う」と話しています。

そのうえで、再生可能エネルギーの普及のため国が蓄電池の導入促進を図っていることを踏まえ「蓄電池に電気を蓄えておけば電力会社に売りたい時に売れるので、太陽光発電施設の横に蓄電設備を置くのは、今後増えると思う。同様の火災が今後、起こることも懸念され対策が求められる」と指摘しています。