詐欺事件で当初被害届を受理せず 県公安委員会が警察を指導

鹿児島県内の女性から多額の金をだまし取ったとして無職の被告が詐欺の罪で起訴された事件で、女性から相談を受けた警察は、当初「詐欺と判断できない」として被害届を受理せず、県公安委員会が「警察の対応は適切さにかける」として指導していたことがNHKの取材でわかりました。

住居不定、無職の日高洋被告(56)は、5年前、銀行員になりすまして鹿児島県内の女性から現金200万円をだまし取ったとして先月逮捕され、1日詐欺の罪で起訴されました。

この事件をめぐって被害にあった女性は、2年前に鹿児島南警察署に相談しましたが、女性によりますと「男女間の貸し借りだ」などと言われ、被害届を受理されなかったということです。

女性が情報開示請求で入手した警察が作成した記録には「直ちに詐欺と判断できず、民事上の問題の可能性がある」などと記されていました。

この対応について、女性からの苦情の申し出を受けた県公安委員会は先月7日、「被害者が具体的な相談をしたにも関わらず、一般的な相談対応にとどめ、申し出の内容を記録化する際に正確性を欠き、組織的な検討が不十分で警察署の対応は適切さに欠ける」として、警察に指導したことを女性に通知したということです。

事件をめぐっては、最終的に別の警察署が被害届を受理して捜査が進められましたが、女性はNHKの取材に対し「鹿児島南警察署では事件にはならないと言われ生きる気力も失った。被害者が増えないよう警察には真摯に相談に対応してほしい」と話しています。

一方、鹿児島南警察署は「個別の案件については回答を差し控える」としています。