高齢者など直接避難できる「指定福祉避難所」県内半数で未指定

災害時に、より支援が必要な高齢者や障害がある人などが直接避難できる自治体の「指定福祉避難所」が、鹿児島県内ではおよそ半数の市町村で指定が行われていないことが分かりました。

「福祉避難所」は、支援や配慮がより必要な高齢者や障害がある人などが避難する施設で、これまでは、福祉避難所の開設を待って一般の避難所から移動する必要がありました。

このため、3年前、災害対策基本法が改正され、国は、あらかじめ、受け入れる対象者を定めておく「指定福祉避難所」の指定を進めるよう市町村に求め、対象者は災害時に直接避難できるようになりました。

県によりますと、去年10月時点で高齢者施設と協定を結ぶなど、「福祉避難所」の確保はほぼすべての市町村で行われていましたが、「指定福祉避難所」としての指定は、鹿児島市や日置市、南大隅町などおよそ半数にあたる22の市町村で行われていないことが分かりました。

理由について、市町村の担当者は「対象になっていない人も避難してきて、混乱を招く可能性がある」とか「対応できる職員の数に限りがあり、すぐに受け入れ態勢を取れるかわからない」などとしています。

いわゆる災害弱者の支援に詳しい日本大学危機管理学部の鈴木秀洋教授は「配慮が必要な人が避難所を変えることは難しく、福祉避難所に1次避難できることが大切だ。ひとつの市町村だけで開設が難しい場合は、他の市町村と広域でのバックアップも検討しておくべきだ」と話しています。