激化する宇宙開発めぐる国際競争

宇宙開発をめぐっては近年国際競争が激しくなっています。

【打ち上げ回数は?】。
内閣府によりますと、去年世界で成功した打ち上げは過去最高の212回に上りました。

このうちアメリカが半数以上の108回を占め、そのうちのおよそ9割はイーロン・マスク氏がCEOを務める宇宙開発企業「スペースX」によるものでした。

宇宙開発はこれまでの国家主導型に加えて民間も参入する新たなビジネスに変化しています。

1位のアメリカに続く打ち上げ回数は中国が68回、ロシアが19回、インドが7回、フランスが3回と続きますが、日本は「H3」や「イプシロン」の失敗の影響もあり、「H2A」の2回にとどまりました。

【H3サイズのロケットに需要】。
世界的に商業衛星の打ち上げ需要が高まっていることを背景に、近年、「H3」と同程度の大きさのロケットが各国で開発が進められています。

運用がすでに始まっているアメリカでは全長70メートルの「ファルコン・ヘビー」、ロシアでは全長69.5メートルの「アンガラA5」、、中国では全長およそ54メートルの「長征5号B」、アメリカのロケット全長69.5メートルの「バルカン」のほか、さらに開発中のロケットでは、ヨーロッパの全長63メートルの「アリアン6」なども進められていていて各国の開発競争はさらに激しさを増すと見られています。

アメリカの大手投資銀行「モルガン・スタンレー」の試算では、宇宙ビジネスの市場規模は、2040年には2020年の3倍にあたる1兆ドル規模まで拡大すると見込まれています。

アメリカがリードし、各国がし烈な競争を続ける中で、日本の新たな切り札「H3」が、その市場に食い込んでいけるかが鍵となっています。