「H3」JAXAの初号機失敗の原因究明と対策

「H3」の初号機の打ち上げ失敗について、JAXA=宇宙航空研究開発機構はおよそ半年間にわたって原因の究明を進めてきました。

ロケットは1段目と2段目の分離まで計画どおり飛行し、その後に2段目のエンジンが着火しなかったことが分かっていて、飛行データを分析し、同じ現象を再現する試験などに取り組んできたということです。

そして、2段目のエンジンに搭載された機器の一部に損傷が発生したことが原因だと結論づけ、損傷の要因を大きく3つに絞り込みました。

このうち2つは運用中の「H2Aロケット」と共通する部品が関係しているケースで、製造時の部品のずれや打ち上げ時の振動などによって着火直後に点火装置でショートが発生したというものと、点火装置の内部にある電気の流れをコントロールするトランジスターが、地上の点検などで過度の電圧に耐えられなくなっていてショートしたというものです。

一方、残る1つは「H3」だけに搭載された機器が関係するケースで、2段エンジンを制御する部品の一部が故障してショートしたというものです。

JAXAはこの3つの要因についてそれぞれ対策を講じ、点火装置の部品を強化したり、製造検査を厳しくしたりしたほか、ショートの原因となりうる機器の設計を一部変更したとしています。

一部の対策については去年9月に打ち上げられた「H2Aロケット」47号機とことし1月に打ち上げられた48号機にも取り入れられていて、問題がないことを確認しているということです。