徳川家存続を嘆願 西郷隆盛に宛てた篤姫の書状原本を初公開

NHKの大河ドラマ「篤姫」の主人公、天璋院が江戸城総攻撃の直前、西郷隆盛に宛てて徳川家の存続を嘆願した書状の原本が、鹿児島市の黎明館で初めて公開されています。

書状は、薩摩・島津家の分家に生まれ徳川家に嫁いだ天璋院が1868年3月に予定されていた江戸城総攻撃の直前、新政府軍の西郷隆盛に宛てて書いたもので、江戸城の無血開城に導いた要因の1つとして有名な史料です。

書状の原本は、薩摩藩出身の実業家の子孫が所有していましたが、去年9月に県が購入し、今回、初めて公開されました。

書状では、徳川家の存続は薩摩藩の取り扱いでなければ叶わないとしたうえで「私がこの一命にかけ、ぜひぜひお頼みする」と嘆願しています。

また、自分が徳川家に嫁いだことは養父である島津斉彬の「深い御思慮」だとしたうえで、徳川家を存続させることが斉彬に尽くすことにもつながるとして、斉彬を慕う西郷の心情に強く訴えています。

黎明館の崎山健文学芸員は「天璋院の生きざまそのものが凝縮されていて、天璋院の1番大事なハートが表れた手紙が鹿児島に帰ってきた。やわらかい表現の中にも薩摩藩を責めている部分があるので、注目して見てほしい」と話していました。

この書状は、鹿児島市の黎明館で開かれている特別展で、今月25日まで展示されます。