丸善天文館店 31日で営業終了 28年の歴史に幕

出版物の店頭での売り上げが低迷するなか、またひとつ街から書店が姿を消しました。
鹿児島市の繁華街・天文館で30年近く市民に親しまれてきた大型書店が31日で営業を終了し、利用客からは惜しむ声が聞かれました。

鹿児島市の天文館にある大型書店「丸善天文館店」は、1995年に「ジュンク堂書店鹿児島店」としてオープンし、28年にわたって営業を続けてきました。

地下3階から地上6階まで売り場面積は1500平方メートルあり、およそ20万冊を取り扱っています。

地元・鹿児島の歴史や文化に関する本を集めたコーナーもあり、地域に根ざした大型書店として市民に親しまれてきました。

しかし「丸善ジュンク堂書店」によりますと、近くにある商業施設「マルヤガーデンズ」にも大型書店を出店していて、業務の効率化を図るため営業の終了を決めたということです。

最終日となった31日は、午前10時前に開店すると次々と客が訪れ、思い思いの本を探し求めていました。

好きな作家の画集を手に取っていた鹿児島市の70代の男性は「ここには週に1回ほど来ていました。実物をみないと感触が分からないこともあるので、店がないと困ります。人口60万の大きな都市で書店が消えていくのは寂しいです」と話していました。

また、漫画を購入していたいちき串木野市の30代の男性は「きょう店に来て、営業終了に気づきショックです。地元の本屋に欲しい本がないときはここに来ていました。20年ほど前から天文館に通っていますが、品揃えが豊富なここが1番で、衝撃を受けました」と話していました。

「丸善天文館店」は、アニメグッズなどを扱うホビーショップに業態を変え、3月29日にリニューアルオープンするということです。

「丸善ジュンク堂書店」は「温かいご支援のおかげで、天文館の地で28年の長きにわたり営業を続けることができました。深く御礼申し上げます」とコメントしています。

「丸善天文館店」は31日午後8時で最終日の営業を終えました。

【書店数の推移】
「日本出版インフラセンター」によりますと、去年12月時点の全国の書店の数はおよそ1万1100店で、10年前に比べ4600店以上減少しています。

鹿児島県でも去年12月時点で113店と、10年前に比べ75店少なくなっています。

「鹿児島県書店商業組合」によりますと、電子書籍など出版物のネット販売の普及により店頭で本を買う人が減っていることが、最大の要因として考えられるということです。