無人探査機SLIMが月面着陸に成功 太陽電池から発電できず

月面への着陸に挑戦した無人探査機「SLIM」について、JAXA=宇宙航空研究開発機構は、20日未明「着陸に成功した」と発表しました。
ただし、搭載した太陽電池からの発電ができていないということで、目的としていた精度の高い着陸が達成できたかどうかについてデータを優先的に確認するとしています。

去年9月に打ち上げられたJAXAの無人探査機「SLIM」は、20日午前0時ごろに降下を開始し、月面への着陸に挑みました。

JAXAは、20日午前2時すぎ会見を開き、「着陸に成功した」とした上で、「探査機との通信が確立され、データを受信している」と発表しました。

月面着陸に成功したのは日本では初めてで、世界でも旧ソビエト、アメリカ、中国、インドに続いて5か国目となりました。

一方、搭載した太陽電池からの発電ができていないということで、JAXAは当初予定していた姿勢とは違う姿勢で着陸していることなどが考えられるとしています。

「SLIM」は、着陸予定地点と着陸した場所との距離の誤差を、これまでの各国の探査機の数キロ単位よりはるかに小さい100メートル以内にとどめる「ピンポイント」での着陸を目指していました。

JAXAは、残された電力が限られる中で「ピンポイント」での着陸を達成できたかどうかについてのデータを優先的に確認するとしています。

この上で早ければ来週にも改めて会見を開き、詳しい状況を明らかにする方針です。

惑星科学が専門で月開発に関する著書もある寺薗淳也さんは「SLIMが目指していたミッションを達成できたという点で見事な成果だ。太陽電池が動いていないことは心配だが、今後回復する可能性に期待したい」と話していました。

その上で、「月面に着陸をすることは宇宙探査を行う上で欠かせないステップで、日本はそれを今まで成功できずにいたが、大きな階段を1歩上がったという点で素直に評価していい思う」と話していました。

一方で「着陸しただけでは、ほかの国のミッションと比べて差がつけられない。今後は日本が定期的に月に着陸できるようになり、アメリカなど月探査を進める国々に影響を与えるようになる必要がある。今回、何ができ、何ができなかったか、反省点をまとめていくべきだ」と指摘していました。