ストーカー規制法違反事件 被害女性“警察の対応に不信感”

霧島警察署の巡査部長が女性の勤務先に押しかけるなどしたとしてストーカー規制法違反の疑いで書類送検された事件で、被害者の女性がNHKの取材に応じました。
女性は警察署に相談しても適切な対応を受けられず、その際の記録も残されていなかったなどとして、警察の一連の対応に不信感を訴えました。

霧島警察署の58歳の巡査部長は、県内の20代の女性の勤務先に押しかけるなどしたとして、先月2日、ストーカー規制法違反の疑いで書類送検されました。

告訴状などによりますと、巡査部長はことし2月、女性が勤めるクリーニング店を訪れた際「何かあったら連絡してほしい」と携帯電話の番号が書かれた名刺を一方的に手渡し、女性が出勤する曜日のほか趣味などを執ように尋ねていたということです。

この事件で被害者の女性がNHKの取材に応じ、警察の一連の対応に不信感を訴えました。

女性によりますと、巡査部長の言動に不安を感じて霧島警察署に相談した際、署の幹部から「巡査部長から聞き取り調査を行って厳しく注意し、結果についてはすぐにでも連絡する」と伝えられたということです。

しかし、しばらくたっても連絡がなかったため再び問い合わせたところ、この幹部は「会議があり連絡が遅れた」と釈明した上で「巡査部長は名刺を渡したことは認めているものの、あなたから好意を持たれていると勘違いしていたようだ」と説明したということです。

女性はこの説明に納得できず、翌月、県警察本部にも相談しましたが、内部で情報が共有されていないのではないかと感じ、警察が相談などを受けた際に作成する「苦情・相談等事案処理票」の開示請求を行いました。

その結果、霧島警察署への相談内容などを記録した文書については「存在しない」という回答があったということです。

一連の対応について、女性から苦情の申し出を受けた県公安委員会は、ことし6月「警察署の対応は女性の不安に対して心情に寄り添った迅速な対応や十分な説明などの配慮に欠けており、県警察に対し、関係職員に迅速かつ十分な対応を行うよう厳正に指導することを要請した」と女性に通知しています。

女性は取材に対し「警察からは、対応が遅れたことや記録が残されていなかったことへの説明はなく、具体的な謝罪も一切ありません。怖い思いをして相談したのに、何か起きなければ動いてくれないのではないかと不信感しかありません」と話しています。

一方、県警察本部は巡査部長の書類送検について「発表事案ではないため事実の有無も含めて回答を差し控える」として公表しておらず、対応に問題がなかったどうかについても「回答できない」としています。