入浴時の突然死を防げ 来月から入浴時警戒情報を発表 鹿大

鹿児島大学の研究グループが入浴時の突然死が起きやすくなる気温を特定し、予想気温などをもとに突然死のリスクが高くなる日には事前に警戒を呼びかける「入浴時警戒情報」を来月から発表することになりました。

鹿児島大学の研究グループは、2006年から2019年までの14年間に、鹿児島県内で入浴中やその前後に突然死した2689人について、検視を行った警察の協力を得て死亡した人の年齢や日時などについて疫学的な調査を行いました。

その結果、全体のおよそ9割が65歳以上の高齢者で、およそ半数のケースが12月から2月の冬場に集中していたほか、気温が低く1日の気温差が大きいほど突然死が起きやすいことがわかったということです。

統計上の分析では、鹿児島市で最高気温が14.5度未満、最低気温が5度未満、1日の気温差が8度を超えた場合、入浴時の死亡リスクが高まるとしています。

こうした突然死は、脱衣所と浴室、それに浴槽内の温度差によって、血圧が急激に変化し心筋梗塞などを引き起こす「ヒートショック」が原因と考えられていますが、とくに高血圧の既往症のある人が全体の4割以上を占めていました。

2019年までの14年間に県内で入浴時の突然死で亡くなった人は、同じ時期に交通事故で亡くなった960人の3倍近くに上っていて、研究グループは高齢化に伴って今後もさらに増えることが予想されるとしています。

今回の研究成果を踏まえ、鹿児島大学の研究グループは来月1日から毎日、予想最高気温と最低気温、それに1日の気温差をもとに、ホームページ上で、入浴時の死亡リスクが高い順に「警戒」「注意」「油断禁物」といった「入浴時警戒情報」を発表することになりました。

このうち「警戒」の情報が出された場合は、できるだけ入浴を避けるとともに、入浴する場合は脱衣所と浴室の間の温度差をなくし心臓から遠いところからかかり湯をすること、それに、同居している人と声を掛け合うことなどを心がけてほしいとしています。

こうした取り組みは全国で初めてだということで、法医学が専門で鹿児島大学大学院の林敬人教授は「警戒情報を出すことで入浴死の発生件数が減るなど良い結果が得られれば、他県にも広めていきたい」と話していました。