鹿屋基地の米無人機事故 米側 飛行再開決めるも原因非公開

自衛隊の鹿屋航空基地に配備されているアメリカ軍の無人偵察機が先月、着陸時に滑走路を外れオーバーランした事故で、防衛省は29日、地元鹿屋市に対し、アメリカ側が「再発防止の確証を得た」として運用の再開を決めたことを明らかにしました。
一方で、事故原因については、アメリカ軍の調査報告書が非公開とされているなどとして明らかにしませんでした。

海上自衛隊の鹿屋航空基地では先月22日、アメリカ軍の無人偵察機「MQ9」が着陸の際に滑走路を外れてオーバーランし、地上設備に接触したあと滑走路脇で停止しました。

けが人はいませんでしたが、「MQ9」は現在、運用を見合わせています。

これについて、九州防衛局の江原康雄局長らが29日、鹿屋市役所を訪れ「市民に心配や不安をおかけしおわび申し上げる」と陳謝しました。

そのうえで、アメリカ軍が「同様の事案の発生を防止する確証を得た」として「MQ9」の運用の再開を決めたことを明らかにしました。

防衛省によりますと、アメリカ側の説明では機体の安全性に問題はなく、飛行の安全に関わる構造上の欠陥がないことを確認したうえで、操作手順を点検したほか操縦員に対する追加の訓練をシミュレーションなどで行ったということです。

一方で、事故の原因について防衛省は、アメリカ軍の調査報告書が非公開とされているなどとして明らかにしませんでした。

九州防衛局の遠藤敦志企画部長は中西市長への説明後、報道陣の取材に対し「アメリカ軍の運用に関しては保全規則もあり言えないこともある。その中で、住民に安心してもらうべくわれわれが確認した点について説明させていただいた」と話しました。

また、「MQ9」の運用再開の時期については「いつ飛ぶかは現時点で分からないが、提供できる情報があれば九州防衛局としてもしっかりとした情報提供に努めていきたい」と話しました。

【基地周辺住民「納得いく説明ではなかった」】
防衛省は、鹿屋基地周辺の住民代表などで作る連絡協議会でも同様の説明を行いましたが、参加者からは原因を明らかにするよう求める声や、事故の発生を速やかに知らせるべきだといった意見が相次ぎました。

市内に住む70代の男性は「事故の詳細についての説明はなかった。システムの問題か人為的なミスなのか、防衛省は事故の原因を何も言いたくなかっただけで納得いく説明ではなかった」と話していました。

【鹿屋市 中西市長は】
一方、鹿屋市の中西市長は防衛省側の説明を受けたあと記者団の取材に対し「市民の安全・安心というのであれば原因を明確に言うことで不安の払拭(ふっしょく)につながると思っていたが、踏み込んだ発言がなかったのは残念だ」と述べました。

そのうえで、「今回は基地内の事故だがこれが基地外であったらどうなるかと思うとぞっとする思いだ。大きな事故につながる可能性もあるので、国も米軍も重く認識して対応してほしい」と述べました。