大阪地裁 長期間経過後に発症する遅発性水俣病の存在認める

大阪地裁 長期間経過後に発症する遅発性水俣病の存在認める

今回の裁判では、不法行為から20年が経過すると民事裁判で賠償を求める権利が消滅するという、改正前の民法に規定されていた「除斥期間」が適用されるかも争われ、どの時点で水俣病だったと認められるのかが争点となりました。

国などは、「原告は、水俣病が発生した熊本県や鹿児島県から転居後、水銀を摂取したとは認められない。水俣病の潜伏期間は通常1か月程度、長くとも1年程度であり、どれだけ長くとも最高裁判決で示された4年以内を超えることはない」などと主張していました。

これについて、27日の判決では、「検査などで確認可能な症状が出る時期と、自覚症状が出る時期が一致するとは限らない」などと指摘し、水銀を摂取してから長期間が経過した後に発症する遅発性水俣病の存在を認めました。

そのうえで、不法行為で損害が発生したと認められる時期については、「検査などに基づいて水俣病と診断された時である」などとして、原告はいずれも診断されてから20年は経っていないとして、除斥期間は適用されず賠償を求める権利は消滅していないと判断しました。