120年前の「柔道畳」昔ながらの材料と製法で復元

120年前に生まれた鹿児島とゆかりのある「柔道畳」が昔ながらの材料と製法で復元されました。

柔道畳は、稲わらを使った「畳床」に、トカラ列島で栽培されていた「シチトウイ」という植物の茎を材料にした「畳表」を縫い合わせるのが伝統的な製法です。

鹿児島県畳工業組合ではことし10月に開催されるかごしま国体を盛り上げたいと去年末から昔ながらの材料と製法で柔道畳を復元するプロジェクトをスタート。

20日、県産の稲わらを使った畳床に現在は大分県の国東半島で数軒の農家しか栽培していない「シチトウイ」の畳表を長さ17センチある針で縫い合わせて完成させました。

出来上がった畳の表面には、およそ550針もの縫い跡が残り、激しい稽古に耐えられるよう、柔道の創始者・嘉納治五郎と畳職人が話し合って改良を重ねたかつての製法を踏襲したもので、昭和39年の東京オリンピックまで使われていました。

組合のメンバーは、文献を集めたり、柔道畳を復元したことがある横浜の畳職人の元を訪ねたりして研究を重ね、復元にあたっては丈夫で強い「シチトウイ」にクッション性を出すため、切った稲わらを間に敷き詰めるといった工夫も施したということです。

鹿児島県畳工業組合の安藤勝理事長は「昔の職人の大変さを感じた。こういう畳がかつての東京オリンピックまで使われていたということを後世の人に伝えるためにどこかに展示させていただければ」と話していました。

製作を体験した鹿児島高等技術専門校の竹原航史朗さんは「昔の体験ができて良かった。畳が少なくなっているので、一枚一枚丁寧に作って先につなげていきたい」と話していました。