養殖ブリワクチンの接種機械「メリット説明し普及に努めたい」

養殖ブリの病気を防ぐワクチンの接種を行う機械について、鹿児島大学などでつくる研究チームが会見を行い、試験を行った結果、漁業従事者みずからが注射器を使う時のような事故が起きないことがわかったとして普及に努めたいと発表しました。

会見したのは鹿児島大学や魚の養殖の技術指導などを行う事業所でつくる研究チームです。

全国でも有数の養殖ブリの産地として知られる鹿児島県では、病気を防ぐため、漁業従事者が稚魚1匹1匹に注射器でワクチンを接種しています。

しかし、研究チームが九州や四国の養殖業者100人あまりを調査したところ、注射器を誤って手に刺す事故を6割近い人が経験していることがわかりました。

養殖ブリ向けのワクチンは、人が接種すると腫れやしびれなどの症状が起き、最悪の場合手術を行う必要があります。

そこで、研究チームはことし6月、大分県佐伯市の養殖場で、魚の養殖が盛んなノルウェーの会社が製作したワクチン接種の機械を試験しました。

およそ1万7000匹の稚魚に接種したところ、誤って人を刺す事故は起きず、魚にも異常は確認されなかったということです。

研究チームによりますと、機械は1式で数千万円ということですが今後、養殖業者の団体などに機械のメリットを説明し普及に努めたいとしています。

研究を行った鹿児島大学の越塩俊介名誉教授は、「安全確保のため先端技術を導入し対応する必要がある」と話しています。