ぼらの子を取る盆明けの伝統行事「ハンギリ出し」 霧島市

「ハンギリ」と呼ばれるおけを使ったいかだに乗った漁師たちが、ぼらの子を取るお盆明けの伝統行事「ハンギリ出し」が、鹿児島県霧島市で行われました。

「ハンギリ出し」は、江戸時代に、漁師が「ハンギリ」と呼ばれる底の浅い直径1メートルほどのおけと竹や板を組み合わせて作った三角形のいかだに乗ってぼらの子を取ったのが始まりといわれています。

鹿児島県霧島市の国分広瀬では、海沿いを埋め立てたときにできた潮だまりで、毎年お盆明けの8月16日に行われています。

16日は、いかだに乗った漁師たちが、長さ3メートルほどの竹でみな底を押して潮だまりの中央に移動し、次々と網を投げ入れてぼらの子を取っていました。

ぼらの子はその場でさばかれたあと酢みそと一緒にふるまわれ、訪れた人たちは新鮮な刺身を、おいしそうに味わっていました。

地元の70代の男性は、「コリコリとしていて最高の味でした。これからもずっと続いてほしいです」と話していました。

一方で、「ハンギリ出し」の担い手は年々減少していて、霧島市はことし、市の無形民俗文化財に指定し、今後、後継者の育成に力を入れることにしています。

文化を受け継ごうと2年前から参加している地元の20代の女性は、「季節やみなさんとのつながりを感じながら、行事に参加できるのはすごくうれしいです。これからもこの行事を盛り上げていきたい」と話していました。