出水平野のツル 15羽“居残り”鳥インフルで親なくしたか

国内最大のツルの越冬地、出水平野では、例年、春にほぼすべてのツルが北に帰りますが、ことしは15羽ほどがとどまり異例の状況となっています。
鳥インフルエンザの流行で親に先立たれた子どものツルが、一部、帰れなくなっているのではないかとみられています。

出水平野のツルは、毎年秋ごろ、越冬のためシベリアから飛来し、春には同じルートを引き返して帰ります。

一方で、ツルを観察している出水市ツル博物館によりますと、今月21日の時点で15羽ほどのナベヅルが出水平野にとどまっているということです。

飛来地の1つ、出水市高尾野町下水流の東干拓の田んぼでは、24日も7羽の群れが確認できました。

例年、けがをして十分に飛べなくなった数羽が残ることもあるということですが、これだけのツルがとどまるのは異例だということです。

出水平野では昨シーズン、鳥インフルエンザが流行し、およそ1500羽のツルが死んでいて、ツル博物館は家族単位で行動することが多いツルの幼鳥が親を亡くし、帰るタイミングを逃してしまったのではないかと見ています。

出水市ツル博物館の堀昌伸館長は「親鳥がいなくなってタイミングをなくしたり、十分な餌が食べられず体力的な自信がなく帰らなかった個体とみられる。10月末に再びやって来るツルと一緒に帰ってくれると思うので静かに見守ってほしい」と話しています。