南西諸島の自治体 有事の住民避難の輸送能力 把握は1割のみ

防衛力の強化が急速に進む南西諸島の自治体を対象にNHKがアンケート調査を行った結果、有事の際に住民を避難させる輸送力を把握していると回答したのは全体の1割にとどまり、具体的な避難計画の作成に向けて、人材やノウハウの不足が課題となっている実態が浮き彫りになりました。

NHKは、国民保護の問題に詳しい国士舘大学の中林啓修准教授と共同で、南西諸島にある県内18の自治体を対象にアンケート調査を行いました。

有事の際にはフェリーなどで住民を避難させることが想定されていますが、▽一日に運ぶことができる輸送力や▽住民が長期間にわたって避難できる施設の収容能力について、「把握している」と答えたのはそれぞれ全体のおよそ1割の2つの自治体だけでした。

また、国民保護法では、住民を避難させるマニュアルを作成することを市町村に求めていますが、現場での課題を複数回答で聞いたところ、▽「平素の準備に必要な人手や時間がない」が全体のおよそ8割にあたる15の自治体、▽「参考になる先進事例などがわからず相談先もない」がおよそ4割にあたる8つの自治体に上り、人材やノウハウの不足が課題となっている実態が浮き彫りになりました。

国士舘大学防災・救急救助総合研究所の中林啓修准教授は「島外への避難となると県や国の協力なしには実現しないので、自治体に助言したり、相談に応じたりしながら避難の形を考えていかなければならない」と話しています。