与論城跡での発掘調査終了 漁で使うオモリや陶器など見つかる
鹿児島県の与論島にある城跡で行われていた、初の本格的な発掘調査が終了し、今年度の調査で新たに、貝殻で作られた漁で使うオモリや食器とみられる陶器などが見つかり、城で人々が生活していたことが明らかになりました。
町では、琉球王朝の主要な城とならぶ規模だったことなどの発掘調査の結果をまとめた報告書を、来年度中に作成し、国指定の文化財の登録を目指すことにしています。
沖縄本島からおよそ20キロ北にある与論島の与論城は、現在、石垣だけが残っていて、与論町ではおととしから初めての本格的な発掘調査を進めてきました。
調査はことし8月に終了し、これまでの調査で14世紀後半から15世紀中頃にかけて城が使われていたことや、南北およそ190メートル、東西およそ180メートルあり、グスクと呼ばれる沖縄本島の主要な城と並ぶ規模だったことが判明していました。
これまでの調査では城が実際に使われていたか分かっていませんでしたが、今年度の調査で、貝殻に穴を開けて作られた漁で使うオモリや食器として使われていたとみられる陶器などが、新たに見つかり、人々が城で生活していたことが、初めて明らかになりました。
また、城の最上部付近では岩山を整地して平坦にした形跡も見つかり、建設に大規模な施工技術が用いられていたことも分かりました。
与論町教育委員会の南勇輔学芸員は、「先人たちがこれだけ大規模なものを作っていたという歴史的な事実が見えてきました。調査によって島の文化的な豊かさを知ることにつながると思います」と話していました。
町では国指定の文化財への登録を目指すとともに、今後、観光資源としてアピールをしていくことにしています。