宿泊療養施設で性的暴行と告訴 県医師会「合意の上だった」
新型コロナウイルスの宿泊療養施設で、県医師会の男性職員が女性看護師に性的暴行を繰り返したとして刑事告訴された問題で27日、県医師会が会見を開きました。
県医師会は「合意の上だった」と結論づけたうえで、男性職員を停職3か月の処分にしたと発表しました。
この問題は、軽症や無症状の新型コロナ患者を療養するため県が設けた宿泊療養施設で、去年8月から9月にかけて、業務委託を受けた県医師会の男性職員が医療機関から派遣された女性看護師へ性的暴行を繰り返したとして、ことし1月に刑事告訴されたものです。
県医師会は2月に、弁護士など13人で構成する調査委員会を設置して調査を進めてきましたが、3月には塩田知事が「真摯(しんし)に対応していない」と指摘するなど、調査の在り方に批判が出ていました。
この問題について27日、県医師会が記者会見を開き、池田琢哉会長が「県、県民の信頼を裏切る多大なご心配とご迷惑をおかけしたことを改めて心より謝罪いたします」と述べた一方、性的暴行の疑いについては、「調査委員会で調査した結果、合意があるものと判断した」と結論づけました。
そのうえで、これまでの報道で社会的な制裁を受けているなどとして▽男性職員を停職3か月、▽県医師会の事務局長を戒告の処分にしたうえで、池田会長も3か月分の報酬を自主的に返納すると発表しました。
合意の有無の判断について、県医師会の顧問弁護士で調査委員会のメンバーの新倉哲朗弁護士は「メールや電話の発信履歴も確認したところ、問題発覚後も相当なやりとりがあったため、強制ではないと判断した」と説明しました。
【塩田知事は】
県医師会の発表について、宿泊療養施設を設置している鹿児島県の塩田知事は「県医師会の職員が不適切行為を行っていたことは、県民の信頼を著しく裏切るものであると考えている。報告内容を精査するとともに、これまでの県医師会の調査の進め方や県への対応等を勘案し、しかるべき対応をとることにしたい」とコメントしています。
【専門家は】
県医師会の調査結果について、性被害やセクシャルハラスメントの問題に詳しい広島大学の北仲千里准教授は「多くの組織の場合は慎重に判断するために、まず刑事事件として立件されるかどうかを待つと思います。刑事事件にならなかったとしても、職場のハラスメントになる可能性は残るので、先に調査結果を発表したというのはわりと大胆な対応ではないかと思う」と述べ、疑問が残ると指摘しました。
また、調査結果を女性看護師へ伝える前に発表したことについても「まずは訴えた人に話すべきで、通常の場合、不服申し立ての期間も設けないといけない。両方の不服を聞いたうえで調査結果を確定させ、世の中に発表すべきで、本人に報告していないのと不服を聞いていないのは問題だ」と話しています。