離島の奄美大島は入院できない患者も 医療危機感強まる

感染拡大が続くなか、鹿児島県の奄美大島など医療体制が限られている離島では、入院できない患者が増えていて、医療関係者や行政の危機感が強まっています。

奄美大島では今月3日に島が独自で定める警戒基準を、最大級のレベル5に引き上げていますが、16日に過去最多280人の感染が確認されてるなど、感染の拡大に歯止めがかかっていません。

こうしたなか奄美群島の医師会で新型コロナ対策を担当している野崎義弘理事によりますと、酸素の投与が必要な「中等症2」に診断されても入院できず、自宅で酸素吸入を行わざるえない事例も出てきているということです。

野崎理事は「普通の病気でも入院できず、コロナでも入院するのが難しい状態で、通常の医療が行えなくなっている。入院が本当に必要な方が行き場をなくして家で苦しんでいるという状況がすでに出ていて、さらに今後も増えていく懸念がある」と話し、強い危機感を訴えています。

さらに奄美大島では夏の観光シーズンのまっただ中ということもあり、観光客や帰省客などから感染が広がるケースも多く確認されています。

ホテルに療養している感染者のおよそ4分の1が、島外からの訪問者だということで、奄美市内に設けられた2箇所の宿泊療養施設は、すぐには入所できない状態が続いています。

奄美市の安田壮平市長は「医療ひっ迫というかもう医療崩壊に近づいているのが現状です。今の段階では、来島自粛は考えていないが、観光客の方などは来島前の検査など万全を期して来てほしい」と話し、島の医療体制のひっ迫を少しでも緩和するために、島に来る人に対して事前の検査などの感染対策の徹底を呼びかけています。