元裁判官有志10人が連名で声明「説得力ない決定だ」

「大崎事件」で鹿児島地方裁判所が再審を認めなかったことについて、元裁判官の有志が異例の記者会見を開き、「説得力がない決定だ。再審制度は無実の人を救済するためにあるべきだ」と批判しました。

22日の鹿児島地裁の決定を受けて、元裁判官10人が「刑事裁判の最大の役割は無実の者を処罰しないことで、新たな証拠で合理的な疑いが生じる限り再審で救済されるべきだ」とする声明を連名で発表しました。

記者会見で東京高等裁判所の裁判長だった木谷明元裁判官は、「再審が認められると思っていたので承服できない。決定は新たに出された証拠の信用性だけを評価していて、有罪が確定した裁判での証拠と比較して総合的に判断することをまったくしていない。50ページもあるが説得力はない」と批判しました。

その上で、「大崎事件は20年前に再審開始決定が出ているのにまだ救済されていない。再審制度は無実の人を救済するためにあるべきだ」と訴えました。

また、いわゆる「袴田事件」で8年前に静岡地裁の裁判長として再審を認める決定を出した村山浩昭元裁判官は、「裁判官たちは必ず無罪になるという結論を導き出せないと再審を認めてはいけないという思いになってしまっているのではないか。時間だけが引き延ばされて本来、救済されるべき人の命が尽きてしまうおそれもある。人権と正義に関わる問題だ」と話していました。

【再審制度の見直し求める動きも】

大崎事件をめぐっては、再審制度のあり方を見直す必要があるという意見も出始めています。

現在の再審制度は、戦前に定められた法律が一部を除き、ほぼそのまま残っているものです。

証拠の開示に関する規定が定められておらず、検察側に捜査段階の証拠を開示するよう勧告などをするかどうかは裁判官の裁量に委ねられています。

大崎事件では、3度目の再審請求の際、初めて開示された写真のネガフィルムをもとに、鹿児島地方裁判所が再審を認める決定を出しましたが、重要な証拠が埋もれたままになってしまう可能性はなくなっていません。

また、大崎事件では、再審開始が決定されるたびに検察側が抗告を行っていて、手続きが長期化する原因にもなっています。

日弁連=日本弁護士連合会は6月16日に「再審法改正実現本部」を設置しえん罪被害者を救済するため総力を挙げて取り組みを進めていくとしています。